フィリップ・ワイズベッカー展 “ACCESSOIRES”開催のお知らせ

フィリップ・ワイズベッカー展 “ACCESSOIRES”

7月月10日(火)〜23(月)
会場:恵文社一乗寺店内ギャラリーアンフェール

パリ、ニューヨーク、バルセロナを拠点に活動しているフランス人アーティスト、フィリップ・ワイズベッカー。日常生活の中にある誰も気にとめない品々の簡素な美しさに注目し、鉛筆や定規を用いて独特のフォルムで描き、注目を集めています。

彼がライフワークとして制作している、デッドストックのノートに1冊1テーマで描いているドローイングブック“DESSIN”シリーズの“ACCESSOIRES”を中心に、日本初披露の作品も展示販売します。また“DESSIN”シリーズを書籍化した『ACCESSOIRES』『MARC’S CAMERAS』『POBLE NOU』ほか、当店ならではの関連書籍・絶版古書も一部販売いたします。

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今週のおすすめ本:『ブルックリン・ネイバーフッド NY・ローカルガイド 』


かつてトルーマン・カポーティは、自身が住まうブルックリンの街並みをスラムのごとく描写しました。

ブルックリンは、よりあわさった町と言われるこの街は、マンハッタンとちがって、建築の変化に関心がないのである。それにまた個性にたいしても寛大ではない、絶望のうちに見渡せるのは、はてしなく続く同じ外観のけばけばしい赤褐色砂岩作りの平屋の列であり、もの悲しいかわいらしい乱暴な子どもたちが木の葉や材木の切れっぱしを集めて十月のかがり火をたく灰の散らばるどうしようもない空地であり、平らな八月の街路をユダヤを殺せ!イタ公を殺せ!黒人野郎を殺せ!と追いかけっこをするもの悲しいかわいらしい子どもたちである—これは精神構造が家と同じく不変であるこの土地の習慣なのである。(『ローカルカラー』小田島雄志訳)

多人種間の不調和と貧困、カポーティはその混沌にこそ惹かれ住まいを選んだのかもしれません。そのブルックリンが今、クリエイターたちが居住し、彼らの集う個性的なカフェやレストランが集まるスポットとして注目を浴びているそうです。

マンハッタンから橋を隔てた、いわゆる郊外地区にあたるブルックリンは、かつて倉庫街として認識され、黒人や移民たちの居住区であり、治安が長らく安定しない町でした。それだけに地価は安く、それに目を付けたアーティストやミュージシャンたちが、ブルックリンにスタジオやアトリエを構え移住してきます。かつてのソーホーがそうであったように、そこに移住したアーティストたちのコミュニティが出来上がり、彼らが通うレストランやカフェが増えていく。ご存知の通り、その後のソーホーは「ファッショナブルな地区」として大手資本が介在し、すっかり観光地化してしまいました。

当店が立地する京都市左京区という地域は、ある意味現在のブルックリンと重なる部分があるかもしれません。地価が安く、周辺の大学に通う学生たちが住まい、オルタナティブな生き方(モラトリアムとも言う)を選択した芸大卒業生たちがそのまま居残り、彼らが通う個性的な店が辛うじて生き延びることが出来る。狭さ故に、店どうしの繋がりが強く、左京ワンダーランドのようなイベントが自発的に開催される。もちろん、それに共感しない店も数多くて、安易な連帯ではないところに共感が出来るから、当店も参加しているのですが。

ブルックリンと左京区を比較するのはあまりにも安易ですし(そもそも規模が違いすぎる、人口密度が左京区に比べブルックリンが20倍近いという差)、反対にブルックリンだって、外からの幻想とは裏腹に左京ワンダーランド規模の連帯で町を活性化させているのでしょう。肝心なのは、ソーホーのごとく資本の介入によって、そこに住む人間が居住区としての街を手放さざるを得ないことになっては本末転倒だということ。街は常に移り変わるものだし、新陳代謝がなければ当然面白くない。それにしても、住む人間を超える規模の資本が介在することはどう考えても健全ではない。

この本には、ブルックリンの今が綿密な取材と丁寧な研究によって描写されています。しかし、今後のブルックリンにこそ注目すべきです。ここに住んでいる人間が、地価や、マンハッタンに対するカウンターな価値観をきっかけに移住してきたとしても、いずれは自らの土着を守らねば、古く住み良い街は生まれないのではないでしょうか。

この本に登場する小さなカフェやレストラン、無名に近いアーティストたちが、今の町を守り続けるのか、変化を好むのかは非常に興味深いところでもあります。

『ブルックリン・ネイバーフッド NY・ローカルガイド 』
編著:赤木真弓、藤田康平
出版社:P-VINE BOOKS

店頭とこちらにて販売中

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左京ワンダーランド特典CD『コラムが聴こえる』

5月13日〜6月3日まで、京都市左京区エリアの50店舗以上ものお店が参加するイベント、『左京ワンダーランド 2012』が開催されます。その中心的イベントであるスタンプラリーの特典として今年も当店ではオリジナルの編集CD-Rをご用意いたしました。

今回は「コラムが聴こえる」というタイトル通り、作家や有名人のおしゃべりばかりを収録しました。日本国憲法に始まり、ダスティン・ホフマン演じるレニー・ブルースによるきわどい人種ネタ、猥褻裁判時の野坂昭如の弁明、伊丹十三によるおいしいスパゲティの作り方、植草甚一がニューヨークで900冊以上本を買った話、ナボコフの『ロリータ』冒頭のハンバートによる”lo・li・ta”の発音、ヒップな喋り方のレッスン、筒井康隆による猥談などなどリラックスしたBGMとともに収録。

左京ワンダーランドの会期中、公式パンフレットに2店舗分のスタンプを押印してもらい、3店舗目として当店で商品を購入、スタンプ押印と同時にこちらのCD-Rをお渡しいたします。

くわしくは「左京ワンダーランド2012」オフィシャルウェブサイトスタンプラリーのページをご覧下さいませ。

左京ワンダーランド2012

5.13(SUN)〜6.3(SUN)
@左京一帯の59店舗にて

お問い合わせ先 / Contact
左京ワンダーランド事務局 / Head Office
京都市左京区一乗寺築田町95メゾン第一白川ビル202natural food village内
18:00~24:00 月休 TEL:075-712-3372

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イベントのお知らせ

連載中

著書

  • 本屋の窓からのぞいた京都


    毎日コミュニケーションズ刊
    →発売中
    記憶に残る恵文社一乗寺店ならではのロングセラー本、これまでに開催した企画展のこと、スタッフと一緒にお店を作ってきた作家さんとの関係、共感しお付き合いの長いお店の数々など。決して実用的な京都ガイドでも書評本でもありませんが、読めばガイドブックにはない京都の風景が浮かび上がる1冊です。

  • 本を開いて、あの頃へ


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    村上春樹からポール・オースター、『孤独のグルメ』に藤子不二雄まで、幅広いジャンルの本や雑誌を日々読みながらちょっと寄り道して考えたことを綴った読書エッセイ24本。本を開けばよみがえる、インターネットも携帯電話もなかった頃の記憶。敷居は低く奥行きは深い、読書愛に満ち満ちた1冊です。

  • コーヒーテーブル・ブックス ビジュアル・ブックの楽しみ方23通り


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    役に立つわけではないけど、眺めてみると興味深い「その他」のビジュアルブックたちをここでは「コーヒー・テーブルブック」の数々としてご紹介。情報が細分化を辿る一方で、資料や、専門的な使用目的以外にアートブックや写真集が敷居の高いものになりつつ今、独特の語り口で本棚を横断しその楽しみ方を教えてくれる一冊。ジャクソン・ポロックとセシル・ビートンの出会い、「007」とスィンギン・ロンドンのつながり、作家カート・ヴォネガットの珍しい絵本まで。アートからポップ・ミュージック、映画からサブカルチャーへと、1冊の本から広がる知的小宇宙。全ての恵文社ファンに贈りたい、初著作です。